第69回21世紀構想研究会のご案内
第69回21世紀構想研究会は10月1日(水)に開催いたします。
演題は
「肝硬変なんて怖くない」
~画期的な再生療法を開発した札幌医科大・新津教授~
日時:2008年10月1日(水)18:30~
会場:日比谷プレスセンタービル
「肝硬変なんて怖くない」
~画期的な再生療法を開発した札幌医科大・新津教授~
会員皆様のご興趣を喚起いたしたく、本講演を要請した(株)特許戦略設計研究所の佐々木信夫より、新津洋司郎教授について、講演要旨および講師略歴を事前に紹介させて戴きます。
講演要旨:
肝硬変は、肝細胞が死滅・減少し線維組織により置換され(線維化)、結果として肝機能が低下した状態である。我が国においては年間4万人超が肝硬変を含む肝疾患で死亡しており、その効果的な治療法が望まれているが、これまで十分な効果と安全性を有する治療法は開発されて来なかった。新津教授をはじめとする研究チームは、世界に先駆けて肝臓の線維化に対する有効な治療法を開発、2004年12月に特許出願した。コンテンツは、これまで肝硬変の責任細胞として認識されてきた星細胞がVAを結合させたリポソーム(VA-Lip)を、レチノール結合蛋白受容体を介して特異的に取り込むことを見いだした上で、その機構を利用して、コラーゲンのシャペロン蛋白(HSP47)に対する低分子干渉RNAを含有させたVA-Lip siRNA HSP47を肝硬変ラットモデルに静脈投与することにより、完治させ得ることを示すものであった(Sato Y. et al. Nature Biotechnology, 2008. Apr.,2008年5月に特許成立した日本特許第4121537号)。その後、この星細胞は全ての臓器線維症に共通して働くことが明らかになり、本治療法(DDS)は線維症一般に対して有効であることが明らかとなりつつある。しかしながら、低分子干渉RNA (siRNA)の担体にVA-Lipを用いる複合体は、将来の臨床応用を考慮するとき、均一性、安定性、再現性などにおいて克服すべき問題点も多い。
一方、日東電工グループは、安定性、均一性に優れた生分解性ポリマーを自社開発し(米国特許出願公開2007-0128118,米国特許7,358,223 B2他)、抗がん剤などの優れたDDS用材料になり得ることを示してきた。ここで日東電工グループの決断により、両者のコラボレーションが実現し、本研究をさらに発展させるべく、上記治療法(DDS)の技術開発が本格化した。それは、本ポリマーをリポソーム(Lip)の代わりに用いた新たな製剤を作製し、肝硬変、慢性膵炎、肺線維症、心筋梗塞モデルでの有効性を検証した上で、臨床展開への実現を目指すものである。
講師略歴:
1967 年:札幌医科大学医学部医学科卒業。 翌年、米国マサチューセッツ工科大学共同研究員。
1972年:札幌医科大学大学院医学研究科博士課程終了。米国アルバートアインシュタイン医科大学リサーチフェロー等を経て、札幌医科大学付属ガン研究所の助手、講師に就任。
1988年:同大学内科学第四講座教授に就任。その後、同大学医学部附属病院副院長、同大学評議員などを歴任。
2008 年:4月、札幌医科大学 分子標的探索講座 特任教授(札幌医科大学名誉教授)に就任。
この間、日本電気泳動学会賞、北海道科学技術賞、秋山財団賞、(財)高松宮妃癌研究基金学術賞などを受賞。現在、日本消化器学会監事、日本癌学会評議員、日本肝臓学会評議員など多数の学会・研究会の役員を務めるとともに、International Journal of Clinical Oncologyなどの国際学術誌や国内誌の編集委員を担当。